七森中♪ふぇすてぃばる感想

 

 七森中♪ふぇすてぃばるから三日が経ちました。たっぷりの睡眠とクラスでの温泉旅行で身体も心もかなり落ち着いてきたので、そろそろ忘れないうちに雑感を書き留めておきたいと思います。


 今回のライブの感想をひとことで表すなら、「ゆるゆりがあって本当によかった」、これに尽きるのではないでしょうか。
 ゆるゆりという作品をメディア展開していくにあたって、そのスタッフやキャスト、そしてファンの皆がちょっとありえないような精度の高さで心をひとつにして駆け抜けてきたこの二年弱の集大成を余すことなく魅せつけた、素晴らしいイベントであったと思います。
 おれがゆるゆりにのめり込むようになったのはちょうどアニメの一期が始まった頃で、最古参というわけではないのですが、まだ声優界で右も左も分からないようなひよっ子だったあの四人組が、ここまでのし上がって来たんだなあと思うと、本当に感慨深いものがありました。きっと彼女達はおれなんかよりも、どんなファンよりもゆるゆりのことが大好きで、ゆるゆりに対して真剣で、だからこそここまで周りがついて来てこれたんだろうなと思います。そして、彼女達をはじめとして多くの人達をここまで虜にした原作の力が根底にあるのは言うまでもなくて、やっぱり、「ゆるゆりがあって本当によかった」と言わざるを得ないのではないかなーと。
 
 りさいたるでは駆け出しのアニメらしいよくあるタイプのライブイベントといった感じで、またうたがっせんではその楽曲のつくりの良さを存分に味わえる構成にがらりと変わり、良くも悪くも合戦となっていたのに対し、ふぇすてぃばるではその言葉通りに、歌も、踊りも、演技も、笑いも涙も盛り込んだ、たった三時間の間にこれまでの合計二十四話をもぎゅっと濃縮したような、まさにゆるゆりのお祭り騒ぎとでも言うべきものでした。あの時あの舞台には、ゆるゆりのキャストが居て、それと同時にゆるゆりのキャラクターが居て、その境界線が曖昧になってしまうような心地良さに五千人が酔わされていたのだと信じています。
 セットリストとしては、デュエット曲をほぼ漏れなく演じた(唄った、でも良いのですが、このライブイベントに関しては、敢えて「演じた」という表現を使っていきたいです)のが、個人的にはかなりポイントが高かったです。ゆるゆりという作品の性質上、やっぱりふたりで演じてもらう機会を増やしてほしかったので、そこは大満足でした。今回初登場となったデュエット衣装としてはガールズパワーでが挙げられますが、昼の部で初めて目にした時は開いた口がふさがりませんでした(勿論いい意味で)
 テウガの楽曲に対しては「本人のためにつくられたものじゃないのにナンバリングするのはどうなのよ」という思いをどうしても捨てられずにいましたが、初見でアホほど笑ったカラオケのPVをはじめとして、公式の見解がこちら側と決して遠いものではなかったと分かってほっとしました。
 
 最も強く印象に残っているのは、やはりかという感じですが、え〜る♪ → みんなだいすきのうたの下りです。え~る♪は明るくさわやかな曲調のはずなのに、ユニットとしてのごらく部に秋の訪れを感じさせるような寂しさがどこか漂っていて、CDで聴いている頃から「もう終わってしまうのかなあ」という思いを抱いていましたが、ライブで改めて聴くと、セトリ終盤だったのもありその感情が何倍にも増幅されて襲い掛かってきて、合いの手を返すその合間合間でなんども我に返ってしまうという体たらくでした。
 そこから、そこからみんなだいすきのうたが始まります。なんだかちょっと安っぽい短いVTRが流れたのち、グランドピアノが舞台にせり出してきて、その前に三上さんが座っている。最初はそういう演出なのかな、と思いました。でも、それは違いました。五千人の観衆を前にした、拙い、けれどもこれ以上ないくらいに想いの詰まった弾き語りが始まった時、おれは光る棒も持たずにただただ棒立ちになって彼女の姿を見つめていました。この日のために、ゆるゆりのために、ここまで努力を重ねることのできた三上さんに「うわあ、この人すごい! すごいよ!」と心の中で何度も繰り返していました。特に、夜の部での、途中何度も詰まりそうな気配を感じさせながらも、最後までビシッと歌い上げたその姿は、ゆるゆりのすべてを背負って立ってもなおぶれることのない、最高に頼り甲斐のあるものでした。
 (偏狭的な)愛ゆえにそのメディア展開の手法に文句を垂らすこともよくありますが、それらをすべて包み込んでしまうような、三上さんの、あかりちゃんの、主人公の、圧倒的な「愛」を感じた一幕でした。

 このイベントがゆるゆりのメディア展開における本当に本当の集大成になっちゃうのかなー、でも諦めの悪い(悪い意味ではなく)公式的にはもう少し泳がせておきたいんじゃないかなーと、なんらかの発表には期待していたのですが、その予想はひとまず的中したということで、どうやらおれたちはあともう少しだけ、ゆるゆりを大きくするための投資を続けていかなければならないみたいですね(うれし泣きしながら)。
 竹達さんがしょっぱなからゼエゼエ息切れしていてめっちゃ面白かったこととか、ガールズパワーででの津田ちゃんの脚がすごかった話とかそういうのはまたふとした瞬間にtweetするはずなので、ここではきれいなところだけを残しておこうと思います。